春愁

住宅の屋根裏に住んでいたハクビシンを捕まえたと、知人が軽トラックでやって来た。

檻に入ったのを覗いてみるとじっとわたくしを見ていた。

知人にどうするんですかと尋ねると、水に漬けて殺すと言う。

ちょっと待ってください。奥の山に放していただけますかとお願いした。

しぶしぶ了解してくれ軽トラックは山奥に向かった。

 

ハクビシンの目を見たらまだ子供だった。可愛かった。

ひとりでがんばって生きろと見送った。

 

自然界の生き物の命は、すべからくはかない。いとおしい。

 

梅の花咲く令月の春は、こころ浮き立つ楽しい春なのに、

ものうれう、もの想う。うら悲しい。